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金属製品製造業 2024/01/09

ホーニング加工について|種類や内面研磨・研削との違いなどを解説

目次INDEX
ホーニング加工
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ホーニング加工とは

ホーニング加工とは、中空構造物の内面に砥石を押し付け、回転させながら往復させて磨く加工方法で、水溶性の切削油や研削油を大量に用いて作業します。この加工方法は研削・研磨加工に分類されます。

中空円筒の内壁にホーニング加工を施す際、複数の砥石が取り付けられたマンドレルと呼ばれる回転工具を挿入し、マンドレルを広げて砥石を内壁にしっかりと接触させます。適切な力をかけつつマンドレルを操作して、内壁の研磨を行います。 この加工技術の特徴は以下の通りです。

・加工公差が小さく高精度な加工が可能
・滑らかな表面仕上げと低い表面粗さが実現できる
・中空円筒加工では、優れた真円度と円筒度が得られる

ホーニング加工はシリンダーや歯車などに適用されます。エンジンや油圧機器に用いられるピストンと対を成すシリンダーでは、往復と回転の同時運動でクロスハッチと呼ばれる微細な網状模様が内壁に形成され、摩擦発生が抑制されます。クロスハッチはピストンとシリンダーが摺動する際、潤滑油を保持して摩擦を低減させます。

歯車の歯面加工にも、ホーニング加工が効果的です。ハイブリッド車や電気自動車の普及に伴い、トランスミッションのギヤからの騒音や振動が問題視されていましたが、ホーニング加工で歯面の加工目を制御し、かみ合いノイズを抑えることができます。また、砥石と歯車の回転を同期させることで、歯車のピッチが砥石のピッチに矯正され、累積ピッチ誤差とは、全ての歯間におけるピッチのズレが積み重なり、その最大値と最小値の差を振幅として示すもので、トランスミッションの騒音要因の一つです。

ホーニング加工機の種類

CNC多軸ホーニング盤

CNC多軸ホーニング盤は、コンピューターによる数値制御が可能で、多軸化したホーニング加工機です。通常のホーニング加工では、砥石などを交換する必要がありますが、この機能では以下の工程を自動的に完結させることができます。

・粗仕上げ
・中仕上げ
・最終仕上げ

さらに、工作物の自動搬送に対応した加工機も存在し、工場のライン上でホーニング加工が可能です。

平行平面ホーニング研削盤

平行平面ホーニング研削盤は、上下に配置された2つの円盤状の砥石でワークを挟み、往復回転を加えて加工を行う装置です。中空構造物の内面を加工する機械ではないものの、通常のホーニング加工機と同様に砥石を押し付けて磨き上げる点で共通しています。

円盤型砥石で挟める形状の製品であれば、異なるものも同時に加工可能です。したがって、高さが同一で外形が異なる製品の高さを揃える目的などで使用されます。

液体ホーニング盤

液体ホーニングは、水に微細な砥粒を混ぜた液体を噴射して行うホーニング加工で、表面の仕上げやメッキや塗装の下地処理、バリやサビの除去、清掃などに利用されます。

砥粒や噴射速度を調整して、様々な表面仕上げを実現できます。この加工は硬化させて疲労強度や耐摩耗性を向上させる。 また、複雑な形状の加工物にも容易に適用できる特徴があります。

ホーニング加工と内面研磨・研削との違い

ホーニング加工と内面研磨は類似しているものの、実際には異なる加工方法です。
それぞれの加工方法の特徴は以下の通りです。

・ホーニング加工は、マンドレルに取り付けられた複数の砥石を回転と往復運動で使用し、加工物を研磨します。
・内面研磨・研削では、加工物と砥石の両方が回転し、加工物が研磨・研削されます。
・内面研削の方が前加工の精度に依存しないため、公差の修正が可能ですが、ホーニング加工は前加工の精度の具合によるため、公差の調整を行うことはできません。 ・ホーニング加工は、クロスハッチを形成することができるため、潤滑油が浸透しやすくなります。一方で、内面研磨・研削は潤滑油が馴染みにくいです。一方で、内面研磨・研削は潤滑油が馴染みにくいです。
ホーニング加工と内面研磨・研削は確かに似ていますが、異なる特性があります。そのため、目的や加工物に応じて適切な方法を選択することが重要です。

ホーニング加工のメリット・デメリット

ホーニング加工のメリット

穴加工において精度が高い
ホーニング加工では、ホーニングヘッドが砥石を均一に押し広げ、被削材の穴の内面にしっかりと密着します。その結果、精度の高い真円度と円筒度を実現することが可能です。

較差が小さく表面精度が高い
ホーニング加工では、研磨する際に砥石が被削材の形状に密着し追従します。内面研削と違い、形状変化が少なく、大きな圧力も加えず、結果的に表面粗さが小さく、精度の高い仕上がりとなります。

被削材への負荷が小さい
ホーニング加工は、ゆっくりと研磨し、被削材の高熱や火花の発生を抑制することがメリット。これにより、
・熱変形や焼けの低減
・熱影響を受けやすい素材の加工が可能
となります。

加工面にクロスハッチを形成
クロスハッチは、ホーニング加工の特徴で、砥石の回転と上下動によって作られる模様は網目状になります。その交差角度は、回転のスピードや上下動の速さに応じて20~60度の範囲で調整できます。金属同士が接触する摺動装置(例: ピストンシリンダー)では、クロスハッチは重要な役割を果たします。なぜなら、潤滑油が染み込む微細なオイルだまりとして機能するからです。

ホーニング加工のデメリット

前加工の寸法精度に依存する
ホーニング加工は前工程で成形された形状を維持して磨くため、前工程の精度が不十分だと修正しにくいデメリットがある。 従って前工程での精密さが重要となる。

マンドレルの拡張限界以下の内径までしか加工できない
内面研削が内壁に回転する砥石を当てるだけの加工法と違い、ホーニング加工では、放射状に取り付けられたマンドレルの砥石全てを内壁に密着させて研磨します。 ・加工物の内径がマンドレルの拡張限界を超えると加工不可 ・加工物の内径に適したマンドレルを用意し、それに取り付けられる砥石も揃える必要あり ・試作品や小ロット品の加工依頼では、形状次第で工具用意にコストがかかることや、加工断りの可能性もあるため注意が必要。

ホーニング加工の注意点

作業者の熟練度で仕上げに差が出る
ホーニング加工の仕上げ品質は作業者の熟練度に左右されます。
加工物の精度や表面の仕上がりに適した砥石の選定など、さまざまな要素を考慮することが欠かせません。特に、汎用ホーニング盤では高い技術が求められます。

マンドレルによって加工できる径が変わる ホーニング加工においては、マンドレルのサイズが対応できる径に影響します。したがって、加工対象に適したマンドレルかどうかを確認することが必要です。さらに、シャンクの仕様と合わせて、マンドレルのサイズを見極めることが重要となります。

ホーニング加工の事例

エンジンのシリンダー

ホーニング加工の採用例として、エンジンシリンダーを取り上げます。この加工方法はエンジンシリンダーの仕上げに適しています。エンジンの動作によってシリンダー内部は高温になり、さらにピストンやピストンリングとの摩擦で壁面に傷が生じることがあります。
・壁面の傷は、シリンダーピストンの運動抵抗を増加させ、エンジン性能を低下させる
・ホーニング加工が生成するクロスハッチは、摩擦発生を抑制し性能低下を防ぐ

したがって、ホーニング加工はエンジンのシリンダーを仕上げる際に最適な方法といえます。

自動車の動力伝達用歯車

次にホーニング加工の導入事例として、自動車の動力伝達用歯車について紹介します。
近年、自動車においてハイブリッド化やEV化が進行しています。その結果、トランスミッションから発生する異音が問題視されるようになりました。トランスミッションからの異音は、歯車が噛み合う際に起こる騒音です。

これに対し、自動車メーカーは熱処理歪みを抑制し、噛み合う歯車の組み合わせを最適化することで解決を試みましたが、十分な効果は得られませんでした。そこで導入されたのが、ホーニング加工による高精度な歯車です。この加工方法により、熱処理歪みがコントロールされ、歯車同士の噛み合わせが改善されました。また、累積ピッチ精度の向上にも寄与しています。

・熱処理歪みのコントロール
・歯車同士の噛み合わせ改善
・累積ピッチ精度向上

これにより、歯車が噛み合う際の騒音が大幅に減少しました。 この結果から、ホーニング加工は自動車の動力伝達用歯車を仕上げる際に適した加工方法であると言えます。
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