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マーケティング 2024/07/05

PLMとは?システムと機能・導入するメリットを解説

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製品ライフサイクル管理(PLM)とは

PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)は、製品のライフサイクル全体を一元管理するアプローチとシステムです。これにより、企画、設計、製造、販売、保守などの各段階でのデータやプロセスが関連部門間で共有されます。目的は、製品情報の統合管理と部門間の連携を強化することです。

PLMの目的

PLMは、市場やニーズの変化に対応し、他社よりも先に高付加価値製品の創出・市場投入を目指すことで、業務効率、開発力、企業競争力を強化し、企業価値を向上させる重要な役割を担っています。

企業競争力を高めるためには、QCDの改善を通じて利益を最大化し、市場やニーズの変化に迅速かつ低コストで高品質な製品を生産することが求められます。この目標は、ライフサイクル全体を一元管理し、部門間の連携を促すPLMによって達成可能です。

PLMが必要とされる背景

近年、製造業を取り巻く環境の変化とIT技術の発展が、PLM(Product Lifecycle Management)の必要性を高めています。

これまでの紙やExcelによる管理では、消費者の多様化するニーズや短期間でのトレンド変化、製品ライフサイクルの短縮に対応しにくいばかりか、SDGsなどのコンプライアンス重視のモノづくりにも対応しきれません。また、情報共有がスムーズでなく、市場環境やコンプライアンス遵守の厳格化に追従が難しいという課題もあります。

しかし、IoTやDXの進展により、製造業でもIT技術の活用が広がっており、製品ライフサイクル全体のデータを容易に取得・管理することが可能になりました。これを受けて、PLMが注目され、紙やExcelによる管理からデジタル化・データベース化が進んでいます。

PLMを導入することで、設計・開発部門や製造部門などの部署間でデータ連携・情報共有がスムーズになり、二度手間や情報のタイムラグを減らすことができます。その結果、正確なデータや状況を共有し、品質向上やコスト削減につなげることが可能です。

総じて、PLMにより情報を迅速かつ正確に伝えられる環境を整えることで、国内製造業の製品開発力強化が実現できます。

QCDとは

■品質(Quality)
品質合格ラインを超え、顧客のニーズに応える製品が求められています。顧客満足度と直結し、QCD改善を図る際に優先的に対策すべき要素となる近年のビジネス観点です。

■コスト(Cost)
QCDのコストは、製品開発に伴う費用や時間を示し、以下の要素が含まれます。

・人件費
・材料費

効果的なマネジメントでコストを改善し、品質や納期に影響が出ないよう、最適なバランスを見極めることが重要です。

■納期(Delivery)
製品企画から顧客への納品までの期間は、遅延が企業信頼喪失につながるため重要です。最新製品を迅速に市場投入し顧客満足度向上を図る際、品質・コストバランスを考慮し改善が必要となります。

PLMとPDMの違い

PDM(Product Data Management)は、PLMと密接に関連する製品情報管理手法です。

PLMとPDMの主な違いは、管理対象データの範囲にあります。PLMはライフサイクル全体のデータを管理しますが、PDMは開発・設計工程の製品情報を一元管理します。主に設計BOMやCADデータが対象となります。

PLMシステムは、2000年代にPDM機能の拡張として登場しました。それ以前は、大量生産・大量消費時代で、製品をいかに安く・速く・多く生産し、安定供給できるかが重要でした。そのため、開発・設計業務の効率化や生産までのリードタイム短縮、コスト削減を実現するPDMが盛んに活用されていました。

しかし、2000年代以降、グローバル化や消費者ニーズの多様化が進み、モノづくり各部門の連携の最適化が重視されました。これに伴い、市場変化への対応速度やQCD向上が求められるようになりました。そこで、PDMに広範囲なワークフロー管理機能が追加され、「PLMシステム」として普及していったのです。

PLMシステムの機能

PLMシステムは製品ライフサイクルの各段階で様々な機能を提供します。

今回は設計部門を中心に、
・企画構想・開発
・製品設計
・工程設計
・設備設計
・生産準備
までを含むエンジニアリングチェーンに焦点を当て、各業務での主要なシステム機能を紹介します。

■CAD
CADは「Computer Aided Design」の略で、手書き製図を効率的にコンピューターで行う機能です。

2Dだけでなく3Dの設計や、組み立て業務・生産ラインのシミュレーションも可能で、立体的なモデリングを行えます。

CADソフトウェアは、さまざまな分野に専用のものが存在します。具体的には:
・機械用
・電気用
・建築用
・建築設備用
・土木用

これにより、過去の設計データから類似図面を検索・反映させることができます。

2DCADと3DCADにはそれぞれ利点と欠点がありますが、製造業のDX推進が求められる現代では、3DCAD設計と3Dデータ活用がデジタルエンジニアリングの核となっています。

■自動設計
自動設計により、製品やユニットの標準化を達成し、製品仕様を入力するだけで見積図面、3Dモデル、見積書などの設計成果物を自動生成でき、設計業務の効率化が可能です。

設計業務では、以下のような課題があります:
・図面での要求事項の打合せにおいて、認識や仕様の齟齬が発生する
・業務が属人的で、似たような図面が作成される

しかし、自動設計では製品仕様を入力するだけで成果物が生成されるため、認識の齟齬がなく均一品質を保てます。

最新技術であるCADを用いた自動設計は、スピード設計、仕様の早期確定、均一品質の見積り、短期納品などを実現できる大きなメリットがあります。

■解析
解析(CAE)とは、Computer Aided Engineeringの略で、かつて手計算で行われていた工程をコンピュータを用いて各種解析を実行するエンジニアリング機能です。

解析の種類:構造解析、流体解析、数値解析
構造解析の例:応力解析、振動解析、熱伝導解析

以前は解析専門家が担当していましたが、現在は「設計者向け構造解析」が導入され、設計者自らが製品の強度、振動、熱に関する評価を実施できます。

これらの性能確認は、試作・試験を実施せずに計算・シミュレーションで結果が得られるため、開発期間の短縮、コスト削減、環境負荷軽減などのメリットが得られます。

■CADデータ管理
CADデータ管理は、単なる整理を超えて、設計時のデータ検索が容易になり、無駄な工数・時間を節約する重要性があります。2D図面の管理はWindowsエクスプローラで十分でしたが、3D設計の普及でデータ整合性・版数管理などの複雑さが増し、限界がきています。

・コンカレント開発の重要性が高まり
・設計データの早期共有が求められ
・チーム設計・部品共通化・標準化が必要となり
・取引先毎の複数のCADシステム管理が不可欠となります

これらの理由から、CADデータ管理は現代の設計プロセスにおいて非常に重要な要素となっています。

■技術情報管理(BOM管理)
技術情報の中核となる設計部品表(E-BOM)は、設計開発業務を効率化するうえで重要です。E-BOMを用いて、各部門の最適化されたBOM(例:製造部品表=M-BOM、保守BOM=S-BOM)を統合的に管理することができます。

しかし、設計部品表を紙やExcelで管理するケースが多く、次のような課題が発生しています。
・情報の二重入力
・検索に時間がかかる
・属人化する情報
・情報利活用が進まない

これらの課題への対処法として、設計部品表をデータベース化することが考えられます。データベース化により、部品表を中心に技術情報を一元的に管理し、設計業務の効率化や関連部門とのシームレスな情報連携が実現できます。

さらに、データベース化によってリードタイムの短縮やコストダウンが可能となり、高品質な製品作りにも貢献します。

■3Dデジタルデータを活用したデジタル生産準備
デジタル生産準備業務で3Dデジタルデータ活用により、使用する工具や組み立て作業の手順、工数など詳細な製造情報が集約されます。

従来の生産準備業務では、試作機を用いて組立性検証や組立プロセス検討、作業指示書作成が行われていましたが、3Dデジタルデータにより視覚的に理解し実施が可能となり、品質向上や属人化防止が実現されます。

さらに、製品開発プロセスでは、
・複数部門の業務同時進行が可能
・開発業務の効率化
・納期短縮
といった利点が得られる(コンカレントエンジニアリング)。

■VR
VR(Virtual Reality)は、コンピュータで構築された人工的な世界を通じて、現実感に近い体験が得られる技術です。

機械設備開発においては、完成後の不具合による再設計が納期の延長や費用増に繋がることがあります。そこで、製造業向けVRの利用により、2Dディスプレイでは見落としがちな問題を3D空間で検証・検討・発見することが可能となります。

PLMシステムの導入メリット

PLMシステムの導入は、企画・設計・開発・生産・販売・廃棄といった製品ライフサイクルを一元管理し、業務効率化だけでなくリアルタイムな情報共有が可能になります。各部署が現状把握できるため、製品設計変更や市場ニーズへの対応が迅速かつ適切に行えます。PLMシステム導入による3つのメリットを以下の通り紹介します。

・各部門の業務効率化
・リアルタイムな情報共有による現状把握
・製品設計変更や市場ニーズへの迅速な対応

■業務効率の向上
PLMシステム導入による製品開発部門の効率化は、業務プロセスのデジタル化によって、著しい成果をもたらします。部門間の情報共有がシステム上でスムーズかつ迅速に行えるため、従来の物理的な移動や連絡が不要になり、業務時間も短縮。煩雑なタスクから解放され、

・重要な業務への集中が可能
・業務効率の向上が望める
という大きなメリットが得られます。

■製品の品質向上
PLMシステムの機能は、多様な顧客ニーズに対応する製品開発に不可欠です。ライフサイクル全体で情報共有を行い、設計変更やミスへの対応を各部門が連携して実施。さらに、集約データの分析により、製造プロセス改善や品質検査効率化が実現し、製造現場の負担増加なしに高品質な製品を確保できます。

■製造コスト削減
PLMシステムは、製品ライフサイクル全体を可視化し、コスト最適化に役立ちます。

・業務効率化で人的コスト削減
・各工程の余分なコスト把握し全体最適化
・リアルタイム情報共有で手戻り削減、設計期間短縮

PLMの成功は各部門の連携に重要性があり、シームレスなデータ共有を実現するPLMシステムの導入価値は非常に高いと言えます。

PLMシステム導入の注意点

PLMシステムは各部門の業務やデータをつなぐ役割を持ちますが、選定に際して既存システムとの連携が重要です。製品ライフサイクルに関わる全システムデータが集約されて初めて、PLMシステムは真価を発揮し、期待される成果が得られます。

ERP(Enterprise Resources Planning:企業資源計画)システムとの連携は特に重要で、企画立案や経営判断の迅速化に大きな効果が期待されます。導入前にはERPとの連携が不可欠です。

既存システムとの連携が可能であるかを確認し、PLMシステムの導入を検討します。連携が難しい場合、既存システムの改修やリプレースが必要となり、PLM実現にかかるコストが増える可能性があるため注意が必要です。 MONOTYを詳しく見る
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